労働者を雇用して事業を行っている会社は、労働基準法その他の関係諸法令を遵守する必要があります。そして、労働基準監督署の監督官には、会社が法令を遵守しているかを確認するために、立入り検査を行う権限を持っています。
この立入り検査を「臨検」と言い、具体的には次のような権限があります。
1.事業所、寄宿舎その他付属物に臨検する権限
2.帳簿・書類等の物的証拠を提出するように求める提出要求権
3.事業主又は労働者に証言を求める尋問権
4.安全衛生法に基づく検査をする権限
5.労働者を就業させる事業の付属寄宿舎が安全および衛生に関して
定められた基準に反して、かつ、労働者に急迫した危険がある場合
に、即時処分する権限
6.労働基準法等の違反について、刑事訴訟法に規定する司法警察官
の職務を行う権限
労働基準監督官には、司法警察官としての身分も与えられているため、悪質な違反に対しては、法令違反として書類送検する場合や、重大な労災事故が発生した場合にも送検手続をとることがあります。
<最近の是正勧告の傾向>
最近の傾向としては、労働者の「サービス残業」についての調査が厳しく、特に管理監督者は時間外労働や休日労働の概念がないため、役職は管理者であるが業務内容は平社員と全く変わらない、いわゆる『名ばかり管理職』が社会問題になっており、これら残業を支払うべき労働者性の判断について、指導・是正を行うケースが多くみられます。そして、臨検の結果、違法性有りと判定された場合に「是正勧告」が行われます。
<是正勧告の実際とその影響>
是正勧告は、是正すべき法令違反を明記し、監督官が指定する是正期日までに指摘箇所を是正するよう求める是正勧告書という文書交付によって行われます。会社が是正勧告書を交付された場合は、指摘事項の是正内容、是正完了日などを記載した是正報告書によって報告を行わなければなりません。
この是正勧告に従わず、適切な対応をしないで放置した場合や、改善したと見せかけ出勤簿や賃金台帳などの改ざん等を行い悪質とされた場合には、逮捕・書類送検をされることもあります。そして書類送検された場合は、新聞等にも取り上げられ、社会的信用の損失は多大なものとなります。前述のサービス残業の賃金不払いについては、大企業の違法行為が新聞に取り上げられたことは記憶に新しいところです。
このように、会社の社会的信用に大きな影響を及ぼす結果を回避するためにも、普段の人事労務管理を適法に行うことが重要となります。規程類の整備、時間外・休日労働に関する協定届、法定帳簿の整備、労働者の安全衛生への配慮、労働時間管理、賃金管理、適法な労働契約の締結など、あらゆる分野に対する会社の対応が問われているのです。
私たち労務管理および安全衛生のスペシャリストである社会保険労務士は、人事労務管理に関するコンサルティング・アドバイスを中心に、問題が起こる前の予防策、適法な管理などをご提案させていただいております。
